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軽量で高断熱のALC、防水を重視した外壁塗装でより強く


適切なメンテナンスで50年超の耐用年数を実現するALC全解剖
50年を超える長期使用も可能なALCパネルの外壁材・・・
それは外壁塗装などで適切なメンテナンスを行った場合の話です

 ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)パネルの外壁材というとかつてはビルなどの大規模な建物に使用されることが多かったのですが、だんだんと戸建ての住宅に採用されることも増えてきました。その理由は何と言っても基本性能の高さです。

断熱性の高さ、不燃、軽さ
地震に強い、遮音性が高い、耐用年数の長さ

 建材の理想のほぼ全てを兼ね備えています。極めて優秀なALCですが、唯一の弱点が存在します。それは多孔質(細かい穴が無数にある)なので、極めて吸水しやすいということです。もちろん、ALC表面にある無数の細かい穴は塗膜に覆われているため、健全であれば吸水することはありません。ALCパネルのメンテナンスは適切な時期に適正な施工で外壁塗装とシーリングを行い、吸水させないことが極めて重要なのです。  それではALC外壁の特徴、そしてメンテナンス方法までお住まいを長持ちさせるためのポイントを見ていきましょう。



ALCの弱点である無数の気泡を
外壁塗装とシーリング打ち替えで克服しましょう

 建物の外壁材にはさまざまなものがありますが、多孔質で独立した気泡が無数に存在するALCはある種、独特と言えるのではないでしょうか。

多孔質で独立した気泡が無数に存在するALC

 この細かい穴が露出しないように表面を外壁塗装でメンテナンスし、目地部分のシーリングを打ち替えていくというのがALCのメンテナンスの基本です。外壁塗装と目地のシーリング、窯業系サイディングなど他の外壁のメンテナンスと変わらないのですが、ALCには殊更、重要になってくるのです。

ALCは外壁塗装とシーリング打ち替えの定期メンテナンスが超重要

 適切な時期に適正な塗り替えとシーリングの打ち替えを行えば、ALCの50年超という長い耐用年数を全うすることも不可能ではありません。

 お家の購入時期にもよりますが、お孫さんが成人するまでお住まいになることも充分に可能なのです。日本の住宅の平均寿命が27~28年ですから、ALCはほぼ倍の寿命です。しかも、『高断熱』、『不燃』、『高い遮音性』、『地震に強い』と理想を極めたような外壁材ですから、いつまでも快適なお住まいになれます。

日本の住宅の平均寿命とALCの住宅寿命の違いグラフ


ALCの外壁塗装で使用する塗料は透湿性の高いものを選びましょう

 ALCは雨水が染み込みやすいので普段、点検をしていても、目の届かない部分から浸水がはじまっているケースもあります。

 水分を吸い込ませなければ良いという考えから、ALC塗装に「弾性塗料・防水塗料」はどうでしょう?とご質問をいただくことがあります。確かに伸縮性が高い為、ALCに発生するクラックの影響は受けにくくなるでしょう。しかし内部からの水分を抜くことが出来なくなるため、塗膜の膨れや剥がれが顕著に目立ってしまい、また結果としてALCが吸水する原因になってしまいます。

塗膜の膨れ
塗膜の剥がれ

 このような事態を避けるため、ALCに使用する塗料は透湿性が高いものを選ぶべきです。透湿性が高い塗料ならば、水蒸気を通過させるため、塗膜に与える影響は最低限になります。

透湿性の低い塗料の特徴図
透湿性の高い塗料の特徴図
ALCに使用する塗料は水蒸気を通過させる透湿性が高いものを選びましょう

 ALCに適した塗料に関して「水性・油性(溶剤)どちらの方が適しているの?」と伺われることもあります。≪水性=水に弱い≫このようなイメージを持たれている方はまだまだいらっしゃいますが、確かに一昔前までは油性(溶剤)が明らかに高耐候だったのですが現在は技術も進歩し、耐久性が高く臭いの少ない水性が主流になりつつあります。

 隣家が近く臭気が気になる方は水性、周辺環境に問題なく少しでも耐久性を高めたい方は油性(溶剤)の塗料を使用しましょう。

周辺環境に適した塗料

 ALC外壁はサイディングやモルタルと較べると費用が高い為、物件も少なく必然的に塗装案件も少ない傾向にあります。中にはALCの塗装を行ったことがないという塗装業者もいる可能性があります。経験豊富な業者なら、透湿性の高い塗料をチョイスしてくれるはずです。心配な方は「塗料は透湿性の高いものを使いますか」と尋ねてみれば、後々の間違いも少なくなります。

 お客様にとって大事なお住まいだからこそ、ALCの特徴を把握した上で技術の高い塗装業者によるALCに適した塗料での塗装工事をお願いしましょう。


ALCに適した塗料での塗装工事をお願いしましょう

ALCパネルの構造
燃えないということもALCの大きな特徴です

 ALCを一言で表すなら「軽量気泡コンクリート」です。普通のコンクリートを打設する場合、できるだけ気泡を取り除きます。ところが工場で生産されるALCはわざと気泡を発生させ、多孔質にします。この分だけ、ALCは軽くなり、独立した気泡が熱を伝えづらくしているのです。また、コンクリートですから不燃です。不燃で軽く、高断熱という特徴はこれらの構造のおかげなのです。

ALCって原料は何でできてるの?
ALC断面図

 セメントに気泡を発生させるアルミニウム粉末の他、生石灰や石膏、珪石を混ぜ込み、補強材の鉄筋やラス網(金網)とともに凝固させます。

 その後、高温・高圧の蒸気で養生すると、極めて安定したトバモライト結晶が生成されます。 

 この結晶は乾燥収縮や熱膨張が小さく、反りやたわみ、クラック等が発生しにくいのが特徴です。つまりALCは非常に優秀な外壁と言えるのです。



ALCの弱点、吸水とそれによって起こる破壊

 ALCの高い断熱性と軽さの元になっている無数の気泡、実はこれが最大のウィークポイントにも成り得ます。こういった多孔質のため、極めて水が染み込みやすいのです。

 ALCが含水するとそれだけで強度が低下すると言われており(問題のないレベルですが)、そうしたデータを発表しているメーカーもあります。含水による強度低下は乾燥すれば元に戻るので、それほど深刻なことではありません。問題は内部に補強のために使われている鉄筋やラス網(金網)です。防錆加工はされているものの、何度も雨水に晒されていればその効果も落ちてきます。
 鉄が錆びれば体積は膨張しますから、内部から軽量気泡コンクリートが押し出されることになり、剥落や欠損が生じるのです。含水によってALCパネルの強度が低下していれば、より剥落や欠損しやすくなるでしょう。

内部から破壊されたALC

含水からALCパネル内部の鉄筋が錆び膨張、軽量気泡コンクリートが押し出される
含水によってALCパネルの強度が低下するとより欠落や欠損しやすくなってしまう


ALCの吸水が起こりやすい場所とは

 ALCにはさまざまな厚みのものが存在します。一般的な窯業系サイディングは14mmや16mmですが、ALCは最低でも厚さ35mmからで中には200mmなんてものもあります。厚みがあるだけに吸水したら、乾きにくそうですが、メーカーの試験では7~12 日後には元の含水率に戻るというデータ(※)もあり、乾きやすい建材とされています。これは各々の気泡が独立しているため水分が抜けるのも早いとされています。

 またALCにも窯業系サイディング同様目地と呼ばれるパネルの継目があり、ここにシーリング材(防水材)が充填されています。

ALC外壁へのシーリング充填

 目地にはバックアップ材や固定用の金具が取り付けられていたり、ALCパネル同士が噛み合うよう凹凸の継ぎ手が設けられていますので、その厚さ分のシーリング材を充填しなければならないわけではありませんが、シーリング材の量が不十分ですと紫外線や雨水によって劣化し肉痩せ・亀裂が起こりやすく雨漏りを起こす原因になりかねません。

※旭化成建材株式会社 Hebel Technical Information 水に関するQ&Aより引用

シーリング材の肉痩せ・亀裂

建物よって使い分けられている薄形パネルと厚形パネル

【薄形パネル】(パネルの最も厚い部分で厚さ35~75mm未満のもの)

  • 厚さ35~37mm未満 木造の建築物用
  • 厚さ50~75mm未満 木造・鉄骨造の建築物用


 【厚形パネル】

  • 厚さ75~200mm以下 鉄骨造・鉄筋コンクリート造の建築物用

チョーキング現象
目地のシーリング材劣化
ALCの凸凹に汚れが付着し洗っても落ちにくい
クラックが見られる

 厚みがある分強度も高いALCですが、吸水による劣化が進行してしまえばその厚み自体意味がなくなってしまいます。例えば外壁が色あせている、ALCの凹凸に汚れが付着し洗っても落ちにくい、ひび割れ(クラック)が見られる等、ALC外壁の劣化サインはサイディングやモルタルと何ら変わりません。必ず数年ごとの目視点検、築年数に応じた外壁塗装メンテナンスを心がけましょう。

必ず数年ごとの目視点検、築年数に応じた外壁塗装メンテナンスを心がけましょう


目地は吸水を起こしやすい部分です

 一般的な窯業系サイディングと同じようにALCも目地は雨水が浸入しやすい部分です。
 目地に充填されているシーリング材は外壁塗装よりも早く傷むことがほとんどですから、気をつけなければいけないポイントです。

 新築から5~6年経過したら、目視で点検を行ってください。次の塗り替えでは外壁塗装とほぼ同じ耐用年数のシーリング材を選んであげれば、塗膜よりもシーリング材が先に傷むことはなくなります。

ACLは目地に雨水が浸入しやすい
シーリング材は外壁塗装より早く傷むことが多く気を付けなければいけないポイントです

 ALCの目地のシーリング材は外壁と同じ色で塗装されることが多く、強風や地震時の外壁の動きに合わせて伸縮するため、塗膜にひびが入ったり、剥がれてきたりすることが起こりますが、表面の塗膜にひびや剥がれが起こっても、シーリング材自体は健全なこともあります。

 劣化サインとしては①弾力性がない、②ひび割れや肉痩せが起きている、③下地のバックアップ材が露出する等の段階を踏みます。心配という方は専門の業者の点検を受けてください。


ALC目地のシーリング材劣化のサイン

 街の外壁塗装やさんがALC塗装にお勧めしたいシーリング材はオート化学工業のオートンイクシードです。シーリング材の中には寿命が3年程度という物もありますが、これでは塗装時期と合わせてのメンテナンスが不可能です。

ALC塗装にお勧めのシーリング材、オート化学工業オートンイクシード

 また安価なものですと柔軟性を高めるための『可塑剤』が含まれているのですが、しばらくすると可塑剤が染み出しALC等の外壁材を黒く汚してしまうブリード現象を起こしてしまいます。ブリード現象で染みついた黒ずみは高圧洗浄でも取り除けず、お住まい全体の美観を損ねてしまいます。

 対してオートンイクシードは可塑剤を含まず独自の成分を配合していますのでブリード現象が発生せず、長期間にわたって弾性を維持することが出来ます。

シーリングのブリード現象
耐用年数15年超の塗料で塗装した場合の一般的なシーリング材とオートンイクシードの耐用年数


ALCは塗り残しから吸水することも…、ご依頼は見識と技術のある業者に!

 ALCの外壁塗装は表面の気泡を塗装で埋めながら塗り替えていくということを意識しなくてはなりません。世の中にはこのような意識がない業者も存在し、表面の凹凸があるデザインのALCでは凹んだ部分の気泡が塗り替え後も存在するケースもあります。

塗装の際に気泡の穴埋めをされなかった例

 色はしっかりと付いているのに、気泡は埋まっていないのです。このような塗り替えが行われた場合、穴埋めされなかった気泡から雨水が浸入する危険性があります。優良な業者は外壁材ごとに特に注意しなければならない部分や工程を分かっています。ALCの外壁塗装はそういった業者に依頼しましょう。


ALC住宅に多い陸屋根の経年劣化も要注意

 ALCを使用している場合、鉄骨造+ALC壁体という構造になっているお住まいが多いのではないでしょうか?ALC造と言えALCは壁材ですので独立しているわけではなく、必ず鉄骨や木材などの下地が必要です。ALCの場合は鉄骨造が多いのですが、切妻屋根や寄棟屋根などではなく屋上や陸屋根のフラットな屋根形状になっていることが多く、陸屋根からの雨漏りを防ぐために伸縮性の高いシート防水やウレタン塗膜防水が施されています。

ALC住宅に多い陸屋根

 ビルやマンションに多く採用されている陸屋根は一見スレートや瓦よりも頑丈のように思われていますが、メンテナンスを欠かすことが出来ません。陸屋根の防水層が劣化すればALCに関係なく雨漏りを起こしてしまいますし室内の湿度が上がればALC外壁へも悪影響を及ぼしてしまいます。同様の理由でバルコニーやベランダも要注意です。

陸屋根の防水層の劣化から雨漏りを起こす

 屋根・防水と外壁メンテナンスはセットがお勧め!ALCの塗装時期である、陸屋根の経年劣化が心配等、気になることがあれば外壁塗装・防水工事どちらも行える業者に依頼すればお客様自身の手間も少なくなるかと思います。

屋根・防水と外壁メンテナンスはセットがおススメ
ALCは高い断熱性を持ち遮音性能にも優れている


実際のALCの外壁塗装の施工例
before abc ALC外壁塗装施工前
after ALC外壁塗装施工後

 新築からちょうど10年ということで外壁塗装をしたいとご相談をいただきました。お客様は目地のシーリングのひび割れやALC部分の劣化を気にされており、「新築時と同じようにしたい」とのことです。できるだけ、新築時に近づけるため、ALC部分へはシーラーとパーフェクトフィラーで下塗りを2回行っています。


点検の様子

外壁塗装点検様子
外壁塗装点検時

 白い外壁とアクセントのブルーグレーの外壁が素敵なお住まいです。ブルーグレーの外壁は窯業系か金属のサイディングのようにも見えますが、両方ともALCでした。築10年というと傷みが出始めるお住まいも多いのですが、かなり綺麗に保たれています。こういった時期に外壁塗装するのが美観を維持する上でもお薦めです。


雨水を吸水しやすい目地のシーリング

 ALCで特に気をつけなくていけないのが、目地のシーリングです。ALCは雨水を吸水しやすい性質を持っていますから、目地などのシーリング材が傷むとそこから吸水してしまいます。

サッシ枠がかなり危険なシーリング例

 目地はまだ大丈夫そうですが、サッシ枠はかなり危険な状態です。白い外壁の左端がざらざらしているのも気になります。こちらは少し厚めに塗料を塗ってあげた方がよさそうです。


足場の仮設と高圧洗浄

足場が仮設された住宅
汚れたALC外壁

 綺麗に見えても結構、汚れているものです。洗浄した部分としていない部分がハッキリ分かります。高圧洗浄では水流に回転をかけるトルネード洗浄もできるのですが、ALCの外壁に行うと削れてしまうこともあるので、ノズルを交換して行いました。

 ALCの外壁塗装に関して多く発生するトラブルが「塗膜の剥がれ」です。塗膜の剥がれを起こす原因はほとんどが不十分な下地処理なのです。例えばALCの凹凸に付着している汚れや苔の除去不足、下塗りシーラーの塗装ムラが後々塗膜の剥がれを起こしてしまいます。いかに丁寧な下地処理を行うかによって、ALC塗装仕上がりの全てが決まります。


シーリングの打ち替え

プライマー塗布
シーリング充填後の目地

 シーリング材を剥がして、専用のプライマーを塗布して、打ち替えを行います。ALCはシーリングも重要なので、シッカリと充填します。それだけではなくて、しっかりと乾燥させることも必要です。


外壁塗装

外壁塗装

 今回はパーフェクトフィラーとシーラー、2回の下塗りを行うことによって外壁を強くします。築10年であれば、そこまでは必要ないのかもしれませんが、こうしておくとやはり耐用年数も長くなります。

2回の下塗り

 グレイッシュブルーのALCも2回の下塗りをおこなってから上塗りに入ります。

ALC外壁塗装
ALC外壁塗装

 お客様はどちらの外壁にも艶消し塗料をお選びになられました。白い部分はグレーがかっていますが、完全に乾けばもっと白くなります。グレイッシュブルーは画像だと黒く見えますが、乾くともう少し青くなります。

 


 今回ALC外壁塗装に使用したパーフェクトトップ(日本ペイント)はシリコングレードを超える耐久性のラジカル制御形の水性塗料になります。艶仕上げが選べる他、透湿性が高い為ALC外壁の塗装には最適な塗料と言えます。高耐候なパーフェクトトップとセットで使用したシーリング材はもちろん、高耐久のオートンイクシードです。どちらも耐用年数12年前後は見込めますので、次回のALC外壁塗装時に目地・外壁の同時補修となります。

パーフェクトトップ
オートンイクシード


竣工

外壁塗装施工後
外壁塗装施工後

 雨樋などの付帯部塗装を終えて、外壁塗装と屋根塗装が完成しました。新築後10年というと、昨今の丈夫になった建材ではメンテナンスには時期尚早と感じる方もおられると思いますが、これから発生する可能性のある不具合の予防と考えれば、決して早い時期ではありません。むしろ、理想的な時なのです。今後も10年を目安に塗り替えを行っていけば、お家の健康を長く維持できると思います。末永く快適にお過ごしください。

ALCの外壁塗装についてのまとめ
  • ALCは多孔質という性質で雨水が染み込みやすいが、外壁材としての性能は超優秀!

  • ALCの多孔質という弱点は外壁塗装とシーリング打ち替えによるメンテナンスでいくらでもカバーできる!

  • 不具合に対してメンテナンスをするのではなく、それを予防するメンテナンスを行うことが大事。適切な時期に外壁塗装とシーリング打ち替えを行い、吸水を防げば、同じお家に50年以上住むことが可能です

  • ALC外壁の塗装には塗膜の膨れや剥がれを起こしにくい透湿性の高い塗料を選びましょう

  • 吸水を確実に防ぎたいALC外壁だからこそ高耐久でひび割れが起きにくいシーリング材(オートンイクシード等)の使用がお勧めです

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